危機の時こそ問われる「レジリエンス」とは?
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「レジリエンス」とは、逆境や困難、想定外の危機に直面した時に心を折らず、しなやかに立ち直る力のことです。
VUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)時代と呼ばれる現代、経営者にとってレジリエンスはますます重要な資質となっています。
危機の時こそ、リーダーのレジリエンスが企業の存続・再生・成長の分岐点を作るのです。
本コラムでは、レジリエンスの本質、経営者が危機に際して発揮すべきレジリエンスの具体的行動、組織全体のレジリエンス向上のためのヒントを、理論と実践の両面からご紹介します。
レジリエンスとは何か:現代リーダーに必須の力
レジリエンスの語源は、物理学の「弾性」や「復元力」です。
心理学では「逆境やストレス状況下で、心身を保ち、さらに成長につなげる力」と定義されます。
レジリエンスが高い経営者は、危機や想定外の事態に直面しても
- ショックや不安に飲み込まれず、冷静に状況を見極める
- 失敗や損失を「学び」に変える
- 柔軟な発想で打開策を探す
- 周囲との連携や助けを求められる
- 自分や組織の価値観・ビジョンを再確認し、再出発できる
といった特徴を持っています。
危機が経営者のレジリエンスを試す瞬間
経営者人生において、想定外のトラブルや危機は必ず訪れます。
- リーマンショックやコロナ禍のような世界的経済危機
- 主要取引先の突然の倒産
- 天災やシステム障害・サイバー攻撃などの突発的リスク
- 金融・資金繰りの急激な悪化
- 組織内の不祥事や人材流出
こうした危機の中で、リーダー自身がパニックや絶望に陥ると、組織全体も迷走しやすくなります。
逆に、リーダーが「しなやかさ」「立ち直り力」を見せることで、社員も安心感を持ち、逆境を乗り越えるエネルギーが生まれます。
経営者が危機の中でレジリエンスを高めるポイント
- 「感情」を素直に認める:無理なポジティブ思考は危険
危機に直面した時、「なんとかなる」「気合で乗り切る」といった無理なポジティブ思考は逆効果です。
まずは「怖い」「不安だ」「悔しい」といった自分の感情に素直に気づき、受け止めましょう。
感情を抑え込まず、信頼できる相手やノートに書き出すことで、気持ちが整理され冷静な判断ができるようになります。
- 「自分の価値観・ビジョン」を再確認する
危機の時ほど、「自分(自社)は何のために存在するのか」「どんな価値を守りたいのか」といった原点回帰が大切です。
価値観やビジョンに立ち返ることで、ブレない判断軸が生まれ、苦しい時期でも組織全体に一体感が生まれます。
- 小さな行動・小さな成功体験を積み重ねる
「大逆転」や「一発逆転」を狙うのではなく、今できる小さな一歩を積み重ねましょう。
危機の中でも「できること」「今動かせる範囲」に集中し、達成感や回復感を実感することで、メンタルが徐々に持ち直します。
- 周囲と助け合う・信頼できる人に頼る
レジリエンスは「一人で頑張る力」ではありません。危機の時こそ、社内外のネットワークや専門家、家族や仲間に相談し助け合うことが重要です。
「弱さを見せること」は決して恥ではなく、むしろリーダーの器の大きさです。
- 「過去にも乗り越えた」経験を再認識する
これまでの経営人生でも、さまざまな困難を乗り越えてきたはずです。
「あの時もうまくいった」「あの時もなんとかなった」という経験を振り返り、自己効力感(自分はやれるという感覚)を強めましょう。
組織にレジリエンスを根付かせるために
経営者のレジリエンスは、組織全体のしなやかさにも波及します。
危機の時こそ、社員一人ひとりの「回復力」「挑戦力」を引き出すために、以下の文化を大切にしましょう。
- 失敗やミスを「学び」として共有できる風土
- 成功体験・回復体験を積極的に「見える化」する
- ピンチをチャンスに変えた物語や事例を社内で語り継ぐ
- 社員同士の助け合い・声掛けを促進する
- 柔軟な働き方や役割変更ができる制度を整える
実例:レジリエンスで危機を乗り越えたE社の物語
E社は、コロナ禍で売上8割減という未曾有の危機に直面しました。
社長は「正直、自分も不安でいっぱいだ」と率直な気持ちを社員に伝え、その上で「全員でできることを探そう」と呼びかけました。
社員からは「新規事業に挑戦したい」「オンラインサービスを作ろう」とアイディアが次々と上がり、失敗も多かったものの、半年で新たな収益の柱を作り出すことに成功。
「社長が本音を出してくれたから、皆で力を合わせる雰囲気が生まれた」と社員は語ります。
まとめ:危機の時こそ経営者のレジリエンスが問われる
危機は誰にでも訪れます。しかし、そこから「どう立ち直るか」「何を学び、どう成長するか」が、リーダーとしての真価です。
レジリエンスは、特別な才能ではなく、日々の小さな行動や自己対話、仲間との助け合いから育まれます。
あなた自身、そして組織のレジリエンスを意識的に高め、「どんな逆境も成長の糧にできる経営」を目指してください。
