日常業務をしていく上で、部下の指導は管理職にとって最も大切な仕事とされています。
多くの企業の管理職研修をしていてよく聞くのが、世代の差もあって指導が難しいという声です。
場合によっては、ゆとりだからとあきらめている管理職の方もおられます。

 

部下の指導に悩んだときにどのように考えればよいでしょうか？

 

行動科学的な観点から一つおすすめの方法があります。

例えば、
毎日遅刻する社員がいるとします。
その時にどのように考えるでしょうか？？

 

だらしないから
やる気がないから
危機感がないから
甘え体質だから
ゆとりだから

 

という風に考えるのではないでしょうか？これはだらしがないからととらえると何となく納得するので、その場は収まりますが、解決策に結びつかないのです。

マネジメント層以上に知ってほしい言葉「個人攻撃の罠」というものがあります。

「個人攻撃の罠」とは、行動科学の世界で何か問題があった時に「○○さんだからこうなった」という風に個人に原因を帰属させがちな人間の傾向です。

行動科学ではこの個人攻撃の罠に嵌っているときは、解決策が出辛いことを実証しています。

個人攻撃の罠の例として

・○○部長が悪い　　　　 → 業績も上げている。変えられない。解決できない。

・○○さんが弱いから　　→ 今度は強い人を採ろう（現実的には困難）

と、解決策にはたどり着きません。

一方で個人攻撃の罠ではないアプローチでは、

・○○部長の指示の仕方が曖昧である　　　→　部長に指示方法の研修を受けてもらおう
・○○さんは一人で悩みを抱えがちである　→　相談窓口や気軽に相談できるようアドバイスが必要である。

と、解決策に結びつくことが多いです。

例えば部下の指導の際にもこの個人攻撃の罠に陥っていないかを検証してから指導することがとても有用です。あなたは○○だからではなく、あなたの○○（スキル）が○○だからと伝えられると、伝えられたほうもなにか自分を否定された、パワハラだと感じることは少なく、建設的な意見の交換ができるようになるので、一度試してみてください。

 

では、どのように考えればよいのでしょうか？
いつも遅刻してだらしがない、ゆとりと考えられている社員がそうではなくなるためにはどういう行動をすればよいかを考えればよいのです。
つまり、
出社時刻前に出社するようにすれば、だらしがなくて、ゆとりではなくなるのです。
このように考えれば、指導すべき行動が明確となり、指導がしやすくなります。
遅刻していないときにきちんとほめ、遅刻したときは必ずしかればよいのです。

 

部下の指導に悩んだ時は、今問題としていることが個人攻撃の罠にはまっていないか一度チェックしてみてください。