健康経営相談Q&A

ストレスとうまく付き合う方法はありますか?

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職場でのストレスチェックが義務化されて「ストレス」という言葉を聞く機会が多くなってきましたが、多くの人が仕事でのストレスを抱えて働いているということを実感します。
筆者も常にストレスを抱えながら仕事をしているし、人が職場において、さらに大きく言ってしまうと人生において、ストレスをまったく受けないということは不可能に近いです。

そもそもストレスとは

ストレスはもともと「ゆがみ」や「ひずみ」を意味する物理学用語で、外部からの何らかの刺激により引き起こされる「ゆがみ」や「ひずみ」が元に戻ろうとエネルギーを働かせている状態のことを言います。
つまり、周囲に起こった出来事に対して、私たちの心身が、その状態に適応しようとエネルギーを発生させることをストレスといいます。

ストレス学説の生みの親とも言われるハンス・セリエ(Hans Selye)博士も、「ストレスは人生のスパイスである」と言っているように、適度なストレスは人生に変化を持たせ、活力を生み出してくれる調味料のようなものです。
ストレスと聞くといかにも悪者で、ストレスなどないほうがいいに決まっていると思っている人も多いかもしれません。
しかし、ストレスは避けられないもので、本来私たちに備わった生体反応とするならば、「害である」とするよりも、どううまく付き合っていくかが重要になってくるのではないでしょうか。

良いストレスと悪いストレス

実は、ストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」があります。
良いストレスとは、ずばり「適度なストレス」、悪いストレスとは、「過度なストレス」です。
人が生活の中で日々向上していくためには、ある程度のストレスを受けてそれを自分自身で克服していく必要があります。
例えば、何かをやり遂げようという目標をもっていた時、新しいことへの挑戦は必ずストレスを伴うものです。
また、仕事における「やりがい」「達成感」なども、適度なストレスがあってこそ感じられるものでしょう。
ストレスが一切ないと頭も鈍ってしまうし、体の機能も哀えてしまいます。定年を迎えて社会的ストレスから開放されると、急に老け込む人が多いのは、よく聞く話です。
これらは、良いストレスの効果ですが、一方で、そのストレスが自分の力ではコントロール不能なレベルだったり、辛い状況が慢性化していたりする場合は、悪いストレスになりえてしまうので注意すべきです。
また同等のストレスであっても、捉え方とコントロールの仕方で、その人にとって良いストレスとなることも悪いストレスとなることもあります。

ストレスをコントロールするポイント

ストレスと積極的に付き合っていくには、ストレスを意識的にコントロールできるようになることが不可欠です。
そのためには、次の4つのポイントが重要です。

1.ストレスを理解する

ストレスの構造や「いいストレス」「悪いストレス」の違いなどを理解しておくことで、自分に起きている変化を冷静に捉えることができるようになります。

2.自分のストレスレベルを把握する

自分がいま置かれている状態、余裕の有無を客観的に把握します。

3.自分のストレスサインを把握する

ストレスサインとは、ストレスが過剰になったときに心や体、行動に現れる変化のことです。人によって、現れ方も種類もさまざまです。自分のストレスサインを把握しておくことで、その頻度や程度によって、ストレスレベルを把握することができます。
<ストレスサインの例>
・口答えや批判が多くなる
・ささいやことに腹をたてる
・遅刻や欠勤が増える
・トイレや休憩の回数が増える
・コーヒー、タバコ、間食の量が増える
・身だしなみが乱れる、気にならなくなる
・よく眠れない など

4.自分がストレスを受けやすいストレッサー(ストレスが高くなる要因)を知る

ストレッサーとは、ストレスを高める要因となるものです。自分にとって、何がストレスを引き上げる要因となるのかを知っておくことで、ストレスに対して事前に対応したり、過剰なストレス状態を予防したりすることができます。
<仕事におけるストレッサーの例>
量的ストレッサー:業務量過多、時間的切迫
質的ストレッサー:役割不明瞭、裁量権不足
物理的ストレッサー:職場環境(照明、温度、騒音、換気 など)
精神的ストレッサー:人間関係、セクハラ、パワハラ、ライフイベント など

1~4のポイントをおさえて、過度なストレス状態に陥らないようにすること、また、あらかじめ自分にとって効果的なストレス解消法のレパートリーを持っておいて、ストレスが高まってきたと感じた場合には適切に実施することで、ストレスと積極的に付き合い、逆に、仕事のパフォーマンスを高めることができるようになります。