健康経営相談Q&A

育休明けの社員が活躍できる職場にするためにはどうすればいいのでしょうか?

  • 環境
  • 生産性向上
  • メンタルヘルス

母子

 

昨年は、1月の大きな改正に引き続き、10月にも育児休業法が改正され、最長2歳まで育児休業が可能となりました。
まだまだ不十分という声もありますが、「一億総活躍社会」「待機児童問題」など社会的に注目されていることもあって、産休・育休の取得、その後の職場復帰がしやすい環境が着々と整ってきています。

この改正により、2年以上会社から離れたのちに復職する人も出てくるということになります。育休からの復帰は、復帰する社員だけでなく職場にとっても大きな転機となり、離れていた期間が長いほどギャップは大きくなってきます。また、法改正に現場の認識が追いつかず、トラブルになるケースも多くなってきています。

 

よくある復職後のトラブルとは?

 

株式会社キッズラインが弁護士ドットコムニュースと共同で行った「復職後のトラブル」に関するアンケート調査の結果、産休または育休から復職した際に育児に起因するトラブルがあったと回答した人は全体の31.2%だったそうです。具体的なトラブルの内容で最も多かったのは「仕事の範囲を狭められる、仕事が任されにくい状況におかれる」で全体の36.3%を占めます。次いで、「希望しない仕事内容、職種、部署への異動」が26.3%、「同僚との関係が悪化」が22.5%でした。
まさに、3人に1人が育休明けに職場トラブルを経験していることになります。昨年の改正によって、マタハラ防止措置の義務化が始まりましたが、職場の理解が至らずにトラブルになるケースは、企業にとって大きな問題の一つとなっています。また、「仕事の範囲を狭められる、仕事が任されにくい状況におかれる」状態については、組織からするとよかれ(復職社員の負担を軽減してあげよう)と思って配置した結果かもしれませんが、それが逆にトラブルの元となっているのです。

 

このようなトラブルやギャップをなくすためには?

 

以下のような組織側の意識改革、復帰社員とのコミュニケーションがポイントとなります。

・全社的にマタハラについての研修などを実施し周知させる
・復帰前に話し合いを持ち、希望する働き方を共有する
・育休中から職場の状況を共有し、復帰後のイメージが持てるようにする
・仕事を任せないのではなく、フォロー体制を整備する

 

復帰した直後は、子育てをしながら働くという新しい経験をする時期であり、同時に仕事と育児の両立ができるのかという不安でいっぱいの時期です。しかし、以前の自分のイメージや、キャリアの遅れを取り戻したい、同僚に迷惑をかけたくない、と頑張りすぎてしまう人も珍しくありません。
復帰社員が、無理をしすぎず、安心して能力を十分に発揮できる環境を整えてあげることが重要となってくるのです。

 

現在の出産平均年齢が30~31歳だとすると、総合職の出産平均年齢は33~35歳ほどになります。10年強働いている者としての経験や知識は、組織にとっては貴重な資産です。また、育児中の時短社員は限られた時間の中で職務をこなすため、慢性的に残業しがちな社員よりも、実は生産性が高い、と聞くこともあります。ある会社では、これまで男性社員の方がアウトプットを出すと考えられていましたが、人事評価に労働時間を入れたところ、時間当たりの生産性は時短社員の方が高いことが分かった例もあります。

 

復帰社員の能力を引き続き活かすことができる環境を整えることは、会社の「生産性や収益の向上」のためにもとても重要なことです。