健康経営相談Q&A

うつ病で休職した従業員からの条件をどこまで守るべきでしょうか?

  • 生産性向上
  • メンタルヘルス
  • 社内制度


従業員がうつ病で休職しました。
主治医の診断により、時短勤務なら働けるということでした。
しかし、それでは会社として対応に困ってしまいます。
その場合の給与体系も整備されていません。特別扱いしていると周りの従業員に見られたり、病気にかかって得するような状況になったりするのも良くないと思うのですが、主治医の指示通りにするしかないのでしょうか?

社員と主治医の言いなりになる、良くないパターン

例えば、

  • 週1日勤務から徐々に勤務を開始すること
  • 1日3時間勤務から徐々に勤務時間を増やしていくこと
  • 半日勤務で半年ぐらい様子をみること

等、主治医から指示が出ると、それに無条件に従わないといけないと考える会社も多いです。
しかしながら、本来復職は産業医の意見のもと会社が最終判断者です(就業規則でもそのように定めておくべきです)。
会社に体力があり指示に従えるのであれば、もちろん主治医の意見を尊重し復職させてもよいと思います。
しかし、現実には困難なこともあるでしょう。

人のよい社長の会社でありがちなのが、「会社のせいで病気になったのだから、できるだけ自由に勤務させてあげよう」と考えて、社員に合わせてしまうことです。
つまり、会社内で治療をしようと考えてしまいます。
しかし残念なことに、この対応は多くの場合不幸な状態を招きます。
その人は来ても来なくても良い状態となり(場合によっては給与も変わらない)、むしろ治らない方が都合の良い状態となります。
その結果、従業員の治療が長期化してしまいます。
さらに良くないことに、その状態をみた周囲は「どうしてあの人だけ特別扱いなんだ」とやる気をなくし、最悪の場合は離職してしまいます。
このような状態では、決して生産性の高い職場とは言えません。

会社としての復職の捉え方

おすすめしているのは、復職に至る条件を定めることです。
例えば

  • 1週間所定労働時間きちんと働ける
  • 軽減勤務は○週間まで

等です。
上記をきちんと定めておくことによって、その状態にまだ至っていないのであれば、至るまで療養するようにと産業医も判断しやすくなります。

治療はきちんと専門機関(病院)に任せる

当たり前のことなのですが、意外と忘れがちなのが、会社は仕事をする場所であって、治療する場所ではないということです。
一定の水準まできちんと働けるようになるまで、専門機関に治療をお願いするというスタンスが大切です。
きちんと療養してから復職することにより、再度休職を繰り返すという一番職場にとってダメージの大きい(現実には多い)ケースを避けることができます。ひいては本人のみならず、周囲や会社にとってもより良い状態になります。
復職後の軽減勤務は、あくまでも初期のソフトランディング用として、いたずらに長引かせるべきではありません。
治療は専門機関に、会社は仕事をする場所という原則を忘れずに対応していくことが大切です。
一見ドライに見えるかもしれませんが、働く人すべてを長期的に見れば、そちらの方が良い結果となるケースが多いです。