休んでいる人に「頑張れ」と言うのは、本当にいけないのでしょうか?
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臨床心理士として、研修やセミナーを実施していてたまに参加者の方に聞かれるのが以下の言葉です。
「どんな会社でも大丈夫な、休んでいる人への声かけってありますか」
というものです。
その時に毎回、「そのような魔法の言葉は残念ながらありません」と答えるようにしています。
そうすると次にたいてい聞かれるのが、
「うつ病の人に頑張れと言ってはいけないと聞いたのですが、言ってはいけないのですか」
という質問です。
このような質問に対しても、
「状況により異なるので、一概には言えないんです。ただ、あえて頑張れと言わざるを得ない状況ではないのであれば、あえて言わない方がうまくいく可能性が高いかもしれません」
と答えるようにしています。
なぜこのような答えになるのでしょうか??
それは、言葉や行動は、文脈や状況によって全く別の意味を持つからです。
心理学ではこの意味のことを「機能」とよび、その機能を明らかにすることを機能分析と呼んだりします。
機能の観点からすると、
朝 おはよう と声をかけながら 肩を軽くたたく
という状況を考えてみましょう。
AさんとBさんは、先輩後輩で普段から仲が良く信頼関係もあります。
AさんとCさんは、年齢が離れており、性別も異なり、これまでほとんど話したこともありません。
上記2つの事例で、行動が持つ意味が異なる可能性があることはお分かりだと思います。
先の例として、「うつ病の人に頑張れと言ってはいけないと聞いたのですが、言ってはいけないのですか」
という質問についても、そもそもどのような状況で誰がどう言うのかによって答えは変わってきます。
どのようにすればいいのか??
職場での機能分析の一番簡単なやり方は、意図していた反応になっているか常に分析の視点を持つということです。
職場の雰囲気を明るくするためにしていた行動が、意図どうり機能しているか常に考える必要があるのです。
管理職、あるいは経営者としては、意図なく行動することは少ないと思いますが、分析の視点を持つことはとても大事です。
その上で、きちんと意図通りの反応が出ているか、科学的に検証いただければと思います。