健康経営相談Q&A

在宅勤務中の従業員のメンタルヘルス不調に早めに気づくポイントはありますか?

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昨今、SNSなどに代表されるように24時間繋がっていることも珍しくなくなってきました。休日に携帯電話に電話する管理職はあまりいないかと思いますが、チャットワークに代表されるチャットアプリであると比較的簡単に休みの日にも連絡を取れてしまいます。筆者は公認心理師として、テレワーク時代のメンタルヘルス対策として大事なのは、この人との距離感の変化への対応であると感じています。変化というのは人間にとってストレスです。コミュニケーションが変わったというストレスに加え、24時間繋がる(繋がってしまう)というのはかなりの変化であると言えます。その意味では社内で休日には連絡しない、あるいは勤務中だけログインできるような仕組みにするというのもテレワーク時代のメンタルヘルス対策としてはとても大事なポイントであると考えます。

管理職としてテレワークメンタル対策として考えるべきことは、やはり変化に気づくということです。拙著「ストレスチェックを導入した会社はなぜ?伸びたか?!」(TAC出版)でも述べましたが、メンタルヘルス対策の要となるのは、やはり管理職の方です。管理職の方は普段から部下の方と接していますから、日常の変化にもっとも気づくことができる位置にいるはずです。そういう意味では、管理職の方がメンタルヘルス不調の兆しを見逃さないようにしなければなりませんから、メンタルヘルスに関する管理職研修などを通じて、「気づく力」を付けてもらうことが大切です。たとえば、「いままでは毎日朝早く出社していた部下が、ある日を境に、急に始業時間ギリギリに来るようになったといった……」とか、「食欲旺盛でいつも大盛りの定食を頼んでいた部下が、突然、小食になった……」といったような変化です。

もともと始業時間ギリギリに来ていて、遅刻も多いような人は、勤怠問題への指導の対象となるでしょう。しかし、それまでとは違って、急に出社がギリギリになったといったような変化の場合、メンタルヘルス不調の兆しかもしれません。

また、食欲旺盛でよく食べていたような人が、急に小食になるというのは、健康管理のことを考えて、自ら進んでセーブしているということでなく、食欲不振になっているということであれば、これも要注意といえるでしょう。

せっかくなので、私が日ごろから研修でなどで紹介している「部下の変化に気づくためのポイント」をご紹介しておきましょう。

 

 部下の変化に気づくためのポイント

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 け:欠勤(特に長期休暇や休み明けの欠勤)

 ち:遅刻

 な:泣き言を言う

 の:能率の低下

 み:ミスの増加

 や:辞めたいと言い出す

 

 

語呂合わせのように「ケチな飲み屋」と覚えてると良いでしょう(笑)。

それぞれ、一つずつを見ればそれほど大きいことではないかもしれません。誰だって、どうしても遅刻をしてしまうことだってあります。困難な仕事に直面し、泣き言をいうことだってあるでしょう。そんな一つ一つすべてに管理職が過敏に反応して、声をかけてくるとすれば、部下の方も気が引けてしまうかもしれません。しかし、一つずつの状況をしっかりと認識しておかなければ、タイミングを逸してしまいます。

たとえば、「遅刻が目立ってきたと思っていたところで欠勤になった」とか、「泣き言が多くなってきたところに、辞めたいというようになった」といったように、日ごろから目を向けていれば、ささいな変化から、重大な事柄が起こることを防ぐことができます。

多くの場合、欠勤や遅刻といった段階で気づくことができれば、その後も長期の休職にならないことが多いといえます。「辞めたいと言い出す」となると、自体が深刻化している可能性が高いといえます。テレワーク時代でも以前でも大切なポイントは変わりません。